通常、懲戒解雇をされた従業員については「退職金を支給しない」となっているはずです。これはこれで問題ありません。しかし、仮に本人が自己都合で退職して、その後懲戒解雇に該当するような事由が発覚した場合はどうなるのでしょうか?
実は、「懲戒解雇の場合には退職金を支給しない」とだけになっている就業規則の会社では、退職金を支給しなければならなくなってしまいます。
理由は簡単です。その従業員の退職理由はあくまでも自己都合だからなのです。
そんなバカな!と思うかも知れませんが、こんな裁判はあっちもこっちでもあります。そして、会社が負けているのです。
おそらく、社長の心の中は、「懲戒解雇という処罰をもとに退職金を支給しない」のではなくて、「懲戒解雇に該当するような悪事を働くようなヤツには退職金を支給しない」つまり、「泥棒に追銭」ということなのではないでしょうか?
ならば、就業規則もそのような条文にしておかなければいけません。ちなみに、労働基準監督署の雛形をそのまま使用している会社は注意して下さい。裁判で負けるパターンの「懲戒解雇になった場合は退職金を支給しない」という条文になっていると思われるからです。
【判例】
原告は、連合会が懲戒解雇する前に退職している以上、懲戒解雇が無効であり、連合会に懲戒解雇に相当する事由があるものに対して退職金を支給しない旨の規程が存在しないから、退職金不支給の事由があるということはできない。(h14.6.21大阪地裁)
「就業規則7つのポイント」を最後までお読みいただいた方へ
就業規則と業績の関係を今まで考えられたことがありましたか?
何気なく使っていた雛形就業規則が労使トラブルの火種になるどんなに危険なものなのかに気づいて、ゾッとしませんでしたか?
「知らぬが仏」だったかも知れませんね。しかし、それでは実際にトラブルが起きたときにアタフタしてしまい本業どころではなくなっていたことでしょう。
皆様はこのレポートを最後までお読みいただいたことにより、自社のためのオリジナルな就業規則を作成する必要性を感じられたことと思います。
そして、就業規則や労務問題に関して「ここはどうなっているの?」という疑問点がさらに浮かんできたことと思います。
通常、当事務所では顧問契約をいただいていないお客さまからの相談は1時間11,000円の相談料をいただいておりますが、今回は無料で皆様の疑問にお答えいたします。
(ただし、千葉、東京23区以外の方は電話にて承ります。)
ご希望の方は、お問い合せフォームよりご連絡下さい。